最高裁判所第三小法廷 昭和47(あ)2111 判決
主 文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
被告人本人の上告趣意のうち、憲法二一条違反をいう点は、所論「孤愁の影」下
巻がわいせつ文書にあたらないとの、原判決の認定にそわない事実を前提として、
また憲法一九条違反をいう点は、原判決が同書に描写されていない部分をも連想し
て同書をわいせつ文書としているとの、認定にそわない事実を前提として、各違憲
の主張をするものであるから、論旨はいずれもその前提を欠き、その余は、事実誤
認、単なる法令違反の主張であつて、すべて適法な上告理由にあたらない。
弁護人畑山実の上告趣意第一点は、憲法二一条違反の主張であるが、刑法一七五
条の規定が憲法二一条に違反するものではなく、また、原判決の是認する第一審判
決が示した、「その内容が徒らに性欲を興奮または刺激せしめ、且つ普通人の正常
な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するという三要素を具備するものを
もつてわいせつとする」旨の見解は、正当であり、このように解しても憲法二一条
に違反するものでないことは、最高裁昭和二八年(あ)第一七一三号昭和三二年三
月一三日大法廷判決・刑集一一巻三号九九七頁の趣旨とするところであるから、論
旨は理由がない。同第二点は、原判決の判断が所論引用の当裁判所の判例の趣旨に
そわないものとは認められないから、論旨は理由がなく、同第三点は、量刑不当の
主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
また、記録を調べても、同法四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて、同法四〇八条、一八一条一項本文により、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
昭和四八年八月七日
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最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 関 根 小 郷
裁判官 天 野 武 一
裁判官 坂 本 吉 勝
裁判官 江 里 口 清 雄
裁判官 高 辻 正 己
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